ひとり酒
土曜の夜18時仕事終わりに僕はひとり、居酒屋の暖簾をくぐる。週末ということもあって店内はとても賑わっている。この店は日本酒をメインとする居酒屋だが、雰囲気はバルのようにとてもお洒落だ。そのせいか日本酒メインの居酒屋にしては女性同士のグループ客や、20代前半くらいの若いカップルも珍しくない。
僕は仕事で疲れたときにこの店を使うが、土曜に来たのは初めてだ。店内には、女性のグループ客の喧しい笑い声、中年サラリーマン2人組の仕事論議、ぎこちない若いカップルのこれからの希望に溢れた声、まるで世界中の土曜の楽しみがこの店に凝縮しているようだ。僕は1人、ハイボールとポテトサラダを注文する。1人分にしては多いポテトサラダをハイボール片手にもりもり食べていると寂しさが押し寄せてくる。普段なら店主と「最近元気?」くらいの会話をするが、寂しさを酒で飲みこんでいた僕は、話しかけることができなかった。
寂しさに耐えかねて僕の孤独から逃げるように店を後にした。
女々しい男
僕は子供のころ、カール(チーズ味)が大好物であった。
そのカールが東日本では販売が停止されるというニュースに触れた。僕は、東日本に住んでいるからカールを買うことができなくなる。あの絶妙にリングではない形をしているカールを食べることができなくなる。
そう思った僕は、衝動的にカールを求めて走った。スーパー、コンビニ、ドラッグストアなど何軒もカールを買い求めたが、どこにも売っていない。
そこでふと我に返って考えた。20年前、10歳くらいだった僕はカールが大好きだった。まさにカール大帝だった。あれから20年、僕はカールを食べていただろうか。中高生の頃の僕は、痩せたいという自意識に苛まれスナック菓子であるカールに見向きもしなくなっていたのではなかったか。それにここ数年は、「肉体改造だ、むね肉だ、高たんぱく、低脂質!」と言って、カールを含むスナック菓子を避け続けていたのではなかったか。
これではまるで、去り際の彼女の後ろ髪を引くようなものではないか。
なんとかっこ悪い。
カールよ、冷たくしてごめん。
だけど、最後に1袋だけ食べたい。
気づくことと動くこと
暑い日が続いているが、今日は木曜日だからあと1日働けば週末がやってくる。明日の英気を養うために夕飯はそばにしよう。僕は天丼も好物だから、天丼も食べよう。
固い決意、断固たる決意だ。僕は帰路こうつぶやいた。
「せいろの大盛とミニ天丼だ。食うぞ。」
午後7時、そば屋の暖簾をくぐる。店内は座れないほどではないが賑わっている。暑い日にはそばが食いたくなるものだ。
席に案内されるなり僕は「せいろ大とミニ天丼」とはっきり注文した。
すぐに隣の客も続ける「せいろとミニカツ丼」。
割烹着を着たおばちゃんは、厨房に向かってこう言った。
「せいろ大とミニカツ丼」それと「せいろとミニカツ丼」
おい、ちょっ、待てよ。僕の中のキムタクが顔を出しそうになった。
だが、僕はキムタクではないので、割烹着を着た愛想の良いおばちゃんに怪訝な目をむける。
おばちゃんは、にこやかに「ミニ天丼とせいろ大、ちゃんと通っているよ。」と僕に言う。
違うよ、おばちゃん。おばちゃん忙しいから思っていることと言っていることが違うよ。内心僕は叫んだ。だが、僕も疲れている。僕の聞き間違いかもしれない。おばちゃんがにこやかに大丈夫っていうから、信じてみよう。
「おまたせ」
おばちゃんは満面の笑みでせいろ大とミニカツ丼を持ってきた。
痩せるためには
連日初夏の陽気が続いている。
夏本番はもうすぐそこだ。
今年こそは割れた腹筋で夏を迎えたい。
そんな君には、スクワットだ。
「摂取カロリー」-「消費カロリー」=【体重増】or【体重減】
【体重減】にするには摂取カロリーを減らす又は、消費カロリーを増やす必
要がある。
おいしいものは食べたいので、「消費カロリー」を増やすことにする。
そして大きい筋肉は下半身にある。
したがってスクワットだ。
「2018夏」のためにいまから始めよう。
『学問のすすめ』(1)
僕は、最近福澤諭吉先生に学問をすすめられている。
福澤諭吉先生は、君も知っていると思うけど、あえて紹介すると一万円札の人だ。
僕は、お金をとても大切にしたいと常日頃から心がけているので、福澤諭吉先生のことも大切に思っている。
ところが、僕は、福澤諭吉先生のことを大切にしたいと心がけながら、福澤諭吉先生の代表的な著作である『学問のすすめ』を読んだことがなかった。これでは、福澤諭吉先生が僕の財布に長居してくれないはずだ。人を大切にするということは、その人のことを知ろうとする行動が必要なのだから。
このことに気づいた僕は、福澤諭吉先生に僕の財布にできるだけ長く滞在してもらうために、『学問のすすめ』を書店で手にとったのである。
漢字①「共」
「共」という字の音読みは「キョウ」で、訓読みは「とも・ども」だ。
意味は「一緒に」だ。
例文は「僕と彼は少年時代に寝食を共にした仲だ」。
この例文だと「同じ釜の飯を食った仲だ」の方が使われているかもしれない。
人とのつながりを表す漢字だ。