~落書き帳~

かずです。どうぞよろしくお願いします。

夏の風物

 僕は打ち上げ花火が好きだ。

 クーラーの効いた部屋から見るのではない。遠くから見るのでもない。

 夏の汗にまみれた人だかりをかきわけて、もっとかきわけて、打ち上げ場所の間近で見る。

 空気の振動を体で感じる。

 空気の振動を感じとる耳。

 音と僕だけの世界。

 ふと、誰かのことを思い出しても、花火の音が僕を「ここ」に引き戻す。

  

 恋人と見に行けば、打ち上げ花火の振動を感じ取ったお互いが、2人揃って

「ここ」にいることを喜び合う。仲間と見に行けば、仲間同士「ここ」にい

ることを喜び合う。1人で見に行けば、僕が確かに「ここ」にいることを喜ぶ

んだ。